防災士養成講座レポート②(レジリエンス 組織づくり)- 2012-09-05
県内より防災士予定者約250名静岡県立大学に集合するには初日と最終日のみ。それ以外は、それぞれの圏域の会場に遠隔システムにより、テレビ・プロジェクターにて講義が進められます。<会場:静岡、沼津、浜松、下田> 筆者は、同じものを見て・会話してという〝生中継”で会議もしくは講習を受けるのは初めてでしたが、まるで目の前に講師がいるかのよう・・・・ かなり集中して受けることが出来ます。現代進歩、素晴らしいです。そのような最新システムを使いながらの今週2日間、ビッチリ仕込まれてきました。内容だけに、聴講側もかなりクタクタになるのですが、それと同じくらいに勉強になります。その中から、「なるほど!」と思った内容をレポート②いたします。
【地震保険】一般財団法人 日本損害保険協会 静岡支部 田村氏
皆さん、個人で地震保険に入られていますか?地震保険は、非常に公共性の高いものであり、損害保険会社に利益も損益もない運営方法をとられています。いわば、保険料は皆で支え、万が一の時に、積み立てられているものなのです。1040億までなら損害保険会社から、それを超えると国の負担も追加され、政府の責任負担額は6兆2000億円(2012.4.6以降)となっています。
火災保険では、地震による住宅・家財の損壊は保障されません。よって、現在は「火災保険+地震保険」の〝原則、2個セット”になっています。(「地震保険には入りたくない」場合のみ、契約書の該当箇所に、押印をしなければなりません。) また、それと同時に年末調整の控除対象として計算にも組み込まれたのは記憶に新しいかと思います。
ちなみに、年間保険料は、当然ながら都道府県で異なります。地震のリスク+人口密度の高い【東京・神奈川・静岡】は建物、家財ともに、他の地域よりも高くなっておりますが、静岡県は地震保険加入率53.7%(2012年3月)となっており、全国平均48.1%を3.5%も上回っています。なにわともわれ、命は助かったけれど、財産なしでは困りますね。
<参考1>保険金支払額
兵庫県南部地震(1995.1.17) 78,346百万円
東北地方太平洋沖地震(2011.3.11) 1,234,593百万円(2012.5.31時点)
<参考2>稲村の火 ※ほかの講師より、必ず読んでおきましょう!と推奨されました。
http://www.bo-sai.co.jp/inamuranohi.htm
【風水害のメカニズム】 株式会社ハレックス 元気象庁予報部予報課長 市澤氏
■静岡県の大雨特性
「北や北東からの冷気の侵入を防げるこうした地形が温暖な気候をもたらしている反面、南からの温室な気流が入ってきた場合は、中部山地や伊豆半島にぶつかり、大雨をもたらすことがある」そうです。また静岡県は、狩野川、富士川、安倍川、大井川、菊川、天竜川等、国土交通大臣と気象庁長官が共同して行う洪水予報対象河川が6か所もあります。
■近年の豪雨の特徴
①その地方にとって記録的な降雨の例が多い ②短時間強雨が増加傾向 ③一雨の雨量は年々変動が大きく、わずかに増加傾向 よって「私たちの地域は大丈夫」とは言えず「未だ経験したことのない雨量」が降る可能性は、どこにでもあるのです。
■台風
今年から「5日予報」が始まりました。しかしこれは進路の予想のみです。24時間先までについては、3時間刻みで強度・進路も出ますが、これでもなお、100キロ前後の誤差が出ます。よって、「あれ?それてよかったね。」ということも十分あり得ることを前提に参考にしましょう。ただし、風や雨が強くなってからの準備は、大変危険です。早め早めの対策で、被害にあわないよう
な「心の準備」が重要です。
■雷や竜巻等の激しい突風に関する情報
特に竜巻は、発現時間が短く、場所もきわめて狭い。日本での発現は稀で且つ非常に予測が難しい。その都度の「現況」で変化する為、直前一時間以内のものを気象庁のナウキャストで確認しましょう。
気象庁 レーダー・ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
【豪雨災害による人的被害】 静岡大学准教授 牛山氏
災害とは人間社会に関わる事で「被害」となります。人がいないところは、単なる自然現象。では、なぜ自然災害が無くならないのでしょうか。
理由1:人口増加により、海辺や山の上など、自然的影響が受けやすいところに人家が密集した。
→可能なら、安全な場所に引っ越すことがベスト。
理由2:自ら危険を承知で、個人的防災行動をとることで、最悪の事態に繋がっている。(全体の33%) → 車でも50センチ水没すると浮いてしまう。「様子を見に行く」のではなく、危険を感じたら避難し命を守ることが一番重要!流れる水には、絶対に勝てない、近づかない。
今までなかったから、とうことではなく警報や警戒情報が出たら「目の前にある現実を見て、聞いて、感じて」水が来ないうちに安全な場所へ避難しましょう!