「生活不活発病」をご存知ですか?(運を動かそう(健康体操))- 2011-04-06

先月わが国では東日本大震災が発生し、とても多くの方々が今も避難所生活を続けています。東北地方はまだまだ寒く、また自由に体を動かすことのできないような環境での生活が続いていて、特にお年寄りの方については「生活不活発病」というものが懸念されています。あまり耳慣れない言葉かも知れませんが、どんなものなのかわかってくると私たちにもかなり身近な問題だと感じることだと思います。

 

「生活不活発病」とは?

災害や体調不良などをきっかけに体を動かす機会が減り、座りっぱなしや寝たきりの状態が長くなるなど活動が不活発になって、体力が減退し、全身の機能が低下してしまう状態のことをいいます。またの名を「廃用症候群」といいます。

2004年の新潟県中越地震の際には被災された高齢者1626人を調査したところ、496人が避難生活をしている中で歩行状態が悪くなり、そのうちの約4割の人が5ヵ月後も回復する様子が見られなかったとのことです。

 

生活不活発病の症状としては、以下のものなどが挙げられます。

     筋力低下、筋萎縮

     関節の拘縮(こわばり)

     褥瘡(床ずれ)

     骨粗しょう症

     起立性低血圧(立ちくらみ)

     便秘、尿や便の失禁

     心肺機能の低下

     精神機能の低下  など

 

ひっそりとひとり暮らしをしているお年寄り、自宅で静かに留守番をしているお年寄り、なんでも家族や周りの人が用をこなしてくれて何もすることがなくなっているお年寄り、近くにいらっしゃいませんか?こういう方々こそが生活不活発病に罹りやすいといわれているので注意していきたいところです。

穏やかに苦労なく過ごすことができる環境を作ってあげるということも大事な心遣いだとは思いますが、度が過ぎてしまうと逆に体を動かす意欲をなくし、その結果体力をなくして体を動かすことができなくなってしまうこと、それらが積み重なることで認知症になってしまうこともあり得ます。

「やっぱり元気が1番です」

生活不活発病の予防のためには過度な安静はさけること、適度に体を動かす生活習慣を作ることがとても大事です。また置かれている生活環境によっても生活不活発病は表れてくることもあるので、生活しやすい環境作りも大切です。たとえば足腰が弱ってしまったご家族がいるご家庭では廊下や階段、トイレなどに手すりをつけて掴まり立ちや伝い歩きがしやすいようにしてさし上げることや、畳に座布団の生活から椅子に座る生活習慣に変えていくことによって立ち座りがしやすい状態にして差し上げることなども体を動かしやすい生活環境作りのひとつといえることだと思います。

 

なにか趣味を見つけて楽しんだり、家事を分担して決まった作業を毎日行なったり、またはこれからの季節は少し散歩をしてみたり、前回更新の足首の運動を1日何度かやってみたり、まずはそんなことでも充分です。「最近ちょっと体を動かすのが面倒だったなあ…」「動きたくないから任せっきりにしてたなあ…」とお心当たりのある方も、「身近な方がこのところ体の動きが悪くなって元気がなくなってしまったような…」と心配されている方も、まずは体を動かすきっかけを作ってみましょう。がんばりすぎず無理をせず、楽しみながら少しずつ体を動かすことが毎日続ける秘訣です。

 

小さなことをこつこつと積みかさねて、元気に春を楽しみましょう。

 

 

【参考】

●国立長寿医療研究センター

http://www.ncgg.go.jp/

 

●生活不活発病予防喚起チラシ(在宅用)
※生活不活発病のチェック表があります。

(「地震前」という言葉を「元気な時」と置き換えてみるとわかりやすいです)
http://www.ncgg.go.jp/pdf/topics/zaitakutirashi110324.pdf